普段から仲の良い兄弟や親子であっても、やはり【お金のこと】になると争うことがほぼ当たり前のようにあるということです。実際に相続トラブルは年々増加傾向にあることが確認されています。(司法統計年報・家事事件編より)
『何億も何千万も資産がある人達の話だ…』と思われがちですが、そのようなことはありません。現に相続資産が1,000万円以下であっても数多くの遺産分割事件として取り扱われている案件が数多く発生しているのです」。
相続というものは必ず人間の【死】が関わってきます。つまり、時期を完璧に指定して発生することでは無いため、例えば、『相続人全員に金銭的なゆとりがある時にしよう』、『相続人全員が仲が良い時にしよう』と打ち合わせする訳にはいかないものです。
また、相続人全員が争う姿勢という場合でなくとも、2人以上が生活に困窮、あるいは金銭に拘る理由を持つのであれば、それが相続争いになります。
逆に言えば2人以上の相続人の中に、1人でも納得がいかない方がいれば、争いが発生するのです。
直系親族であれば、生前に【マイホームの頭金を出してもらった兄】、【留学資金を出してもらった姉】、【結婚の際に持参金を出してもらった妹】というように、教育や生活の中で当たり前のように個々人でも所謂、贈与があって然るべきです。
イベントの時期や内容が異なれば、必要金額が異なりますから、援助を受けた金額にも差が発生しているはずです。
また、相続が発生したとき、兄は被相続人(亡くなった方)から生前、これまで沢山の援助を受けていたのに、弟は殆ど受け取れなかった。それなのに相続金額が兄と同等額なのは納得がいかない…という不満が発生することもあります。
以上のような不公平が生じることで、相続問題に発展すること自体、ケースとしては多々見受けられますし、土地や家屋のような不動産、株式やゴルフ会員権といった現金以外の資産があれば、その評価額や誰が相続するのかといった問題が出てくることもあります。
稀なケースで相続人の中にその筋の専門家がいれば、その価値を正当に評価し、運用や売却ルートを持つことで喜んで相続することもあり得ますが、やはり、一般的に一番人気は現金です。
不動産は相続したときの評価額どおりに売却できるのか不安に思われる相続人が多いです。
株式は或いは一日にして評価額が下落することだってありますから、これまた不安に思われる相続人も多いはずです。
かといって、最後の瞬間まで社会活動をしている被相続人が【死亡する正にその時に自己資産を全て現金で用意しておく】なんていうことは不可能に近いことですから、このような事項も争いが発生する要因になります。
お金がいくらあったとしても【生前にあった贈与額】で争う可能性があり、かと言って、全くお金がなく不動産や株式といった資産だけが残ったとしても争う可能性があるということです。